あかほん! 第17話「国語は基礎学力」

Posted by chloro2236 on 08.2013 あかほん! 0 comments 0 trackback
――4月21日(火)
――
図書室
――

――前回のおさらい――

シキネ「マーク模試1200点でした」

スウ「シキネは馬鹿じゃないよ」(笑顔)

コッコ「アナタは馬鹿よ」(伏目)

スウ「こっちみんな」(呆れ)

――

コッコ「シキネが馬鹿な理由を説明していくわね……」(伏目)

シキネ「はい……」

コッコ「……の、前に、今回の模試だけど時間は足りた?」(デフォ)

シキネ「全く足りませんでした」

コッコ「でしょうね」(伏目)

シキネ「でも本番はもっと時間長いんでしょ?」

スウ「え?」(きょとん)

シキネ「え?」

コッコ「本番も一緒」(伏目)

コッコ「とにかく注目すべきは”時間が全然足りなかった”ということ」(真面目)

シキネ「はい」

コッコ「国語の点数を見ればなんとなくわかるわ。どうせ現代文に時間を使い過ぎて古典にまわす時間が無くなったんでしょう?」(伏目)

シキネ「その通りです」

コッコ「……というか国語の点数ひっくいわね」(呆れ)

シキネ「55点でしたね……」

コッコ「100点満点に換算するまでもなく全科目の中で最低点っていうのはもう……なんか終わっているわね……」(呆れ)

シキネ「えー、でも俺理系じゃん」

コッコ「……」(伏目)

シキネ「……あれ?」

 コッコさんが急に黙ってしまったからどうしたのだろうと思って振り返ってみると何故か俺のすぐ背後にまで近寄ってきていた。

シキネ「え、近い」

 そしてその細くてしなやかな指を俺の首筋、太ももからお腹から触れるか触れないかという感じで這わせた。

シキネ「ちょっ……ここ図書室……みんな見てる!」

コッコ「……」(にやり)

シキネ「だっ……ダメだよっ、そんな……俺は……」

シキネ「俺はガーディアンだからっ!!!」

コッコ「……んふ」(にやり)

 コッコさんは湿った吐息を漏らすとより一層、俺の顔のすぐ真横にまで顔を近づけてきた。

シキネ「ひいい、他人が怖い! 他者の瞳の中に映る自分が怖い!!」

コッコ「ねえ……シキネ、いいことを教えてあげるわ」(にやり)

シキネ「だ、だけど実際にはあると思います、知らなない方が幸せなこと」

コッコ「国語ができない人間っていうのはね……」(にやり)



コッコ「”馬鹿”なのよ」(なまめかしい)



シキネ「Oh...I’m in heaven again///」

 俺は果てた、精神的に。

コッコ「ちょっとよくわからないわね」(にやり)

スウ「……」(ぽかん)

シオ「……」(ぽかん)

コッコ「ね?」(苦笑)

スウ「コッコさん危ないよ!? そんなに近づいたら」(びっくり)

シオ「そうだよ! うつっちゃうよ、馬鹿とか、菌とかが」(苦笑)

 この人今さらっと馬鹿って言ったね。

コッコ「まあでも単に馬鹿って切り捨てるのも少々学がない感じがするからもうちょっと詳しく説明するわね、おばかさん」(笑顔)

シキネ「……はい」

コッコ「例えばアナタがもう、本当にこの上なく頭の良い人だったとするわね」(デフォ)

コッコ「でも、アナタは国語が全く出来ないの、『ぼくは昨日電車』とかしか書けないようなレベルでね」(デフォ)

コッコ「そんなアナタはあの空の青色をどうやって説明するの?」(デフォ)

シキネ「愛……とかで……」

コッコ「……やってみてくれる?」(にやり)

シキネ「え……やっていいの? 本当に……いいの?」

コッコ「……やっぱり遠慮しておくわ」(焦り)

スウ「話の腰折るなよ」(じと)

シキネ「ごめんちゃい」

コッコ「とにかくね、分かるでしょう。国語が出来ないということはアナタの言いたいことを説明することは出来ないし言葉で説明してあることを読み取ることもできないわけ」(伏目)

コッコ「アナタがどんなに頭が良くても国語ができなければ周りの人はアナタの頭の良さを知ることができないわけ。知ることができないのだから大学の先生もアナタは頭が良いんだな、と思ったりしないわけ」(伏目)

コッコ「こういうのを読み書きする能力、基礎学力が低いって言うのよ」(にやり)

コッコ「つまり、馬鹿」(にやり)

シキネ「ごめんなさい、馬鹿でした」

コッコ「さっき四月のマーク模試だから点数がどうこうって言ったけれど、そんなことは本当はどうでもいいのよ。受験なんて何が起こるかわからないのだから」(デフォ)

コッコ「何よりも問題なのは国語の点数がここまで低いこと。アナタは馬鹿よ、すごく馬鹿、本当に馬鹿」(デフォ)

シキネ「ごめんなさい、本当に馬鹿でした」

――パチパチ

 俺が心底反省していると小さな拍手が二つ聞こえてきた、図書館なのに。

スウ「感動した。やっぱりシキネは馬鹿だよ」(デフォ)

シオ「うん。うすうすそんな気はしていたんだけど、今確信に変わった」(苦笑)

シキネ「みんな……」

シキネ「僕は馬鹿だ……」

シキネ「馬鹿でいたい……」

シキネ「僕は馬鹿でいたい」

シキネ「僕は馬鹿だ!!」

シキネ「僕は馬鹿でもいいんだ!!!」

――ブオオッ
――パチパチ

コッコ「おめでとう」(デフォ)

スウ「おめでとう」(デフォ)

シオ「おめでとう」(デフォ)

井部「おめでとう」(デフォ)

シキネ「ありがとう」

――スウにありがとう。
――模試にさようなら。

――そして全てのチルドレン(子供達)に












シキネ「……馬鹿でもいいってことはないか」

シオ「うん、それは私もそう思った」(悲壮)

コッコ「というかなんで井部くんがいるのよ?」(きょとん)

井部「いや、すいません、僕もエヴァ好きなので。もう帰りますね」(苦笑)

コッコ「はーい」(笑顔)

 つまり俺はあれか、スウになんか持ち上げられていたけどやっぱり馬鹿だったのか。

コッコ「アナタは馬鹿なアナタのままでいいの?」(にやり)

シキネ「嫌です……」

コッコ「というわけでとりあえず言葉を読む力を身につけなさい」(デフォ)

シキネ「どうすれば……?」

コッコ「速読ね」(伏目)

シキネ「速読?」

コッコ「とにかく速く読めるようになりなさいな。まずはそれからだと思うの」(デフォ)

スウ「速読?」(きょとん)

シオ「速読かあ」(デフォ)

シキネ「二人も速読やってんの?」

スウ「全然」(きょとん)

シオ「全く」(苦笑)

シキネ「え、どういうことなの?」

コッコ「二人は頭が良いでしょう?」(にやり)

シキネ「え……ああ、そういうことなの」

 ここでは「頭が良い」というのは「読み書きの能力が高い」ってことか。じゃあ二人は……。

コッコ「二人は特に意識するまでもなく素早く読み書きできる力を持っているのよ。だから授業を聞いただけで頭に入るし解答時間にも困らない。そうでしょう?」(デフォ)

シオ「まあ……」(苦笑)

スウ「自分ではよくわからないけどね」(苦笑)

コッコ「そしてアナタにはそういう能力が無いわけ。だから身につけなさい。今後の勉強の効率も断然上がるでしょう」(デフォ)

シキネ「速読か……でも具体的にどうやるの?」

コッコ「速く読もうと意識すること、視野を広げること、一度に認識できる文字の数を増やすこと」(デフォ)

――こういうことらしい――

① まず当たり前のようだけど、速く読もうと意識することね。だって今まで意識したことなんてなかったでしょう? だからこんなことになっているのでしょう? 一番簡単にできることでもあるわね。速く読もう、とそう思えばいいわ。時間を計るのがいいのかしらね。まあ面倒くさいわね。

② 視野を広げること、つまり視界にできるだけ多くの文章を入れるようにすることね。どうせアナタは紙に鼻を擦り付けながら一文字ずつ読んでいるのでしょう? そこまで極端ではないにしろ、理想は首を全く動かさずに目だけで試験問題の文章の端から端まで読めるようになることよ。

③ 一文字ずつ読んで後でそれを繋げる……みたいな読み方をしていない? 文字のブロックごとに頭の中に入れられるようにするといいと思うわ。一度に一文字認識するのと二文字とでは読む速度が全然違うでしょう? 理想は一文くらいなら一瞬で読めるようになれたらって感じだけどすぐには難しいかもしれないわね。

――

シキネ「へえ、詳しいね。というか受験とかのことにも妙に詳しいよね」

コッコ「キャリアが違うのよ」(にやり)

……だから同い年でしょう。

コッコ「具体的にいきましょう」(デフォ)

――
 そのころ僕はもう大人になっていて、世間ではまだ社会に出て十年も経っていない輩のことを若者と言うのかもしれないけど、僕は僕自身のことを歳相応にわきまえていたし、そろそろ自分が歩いている人生のランクのようなものもわかってきていた。
――

コッコ「この文章をとりあえずこんな感じで読んでみるのよ」(デフォ)

[そのころ僕は][もう大人に][なっていて、][世間ではまだ][社会に出て][十年も経っていな][い輩のことを][若者と言う][のかもしれない][けど、僕は][僕自身のこと][を歳相応にわき][まえていたし、][そろそろ自分が][歩いている][人生のランク][のようなもの][もわかって][きていた。]

シキネ「え、ああ、え、全然よくわからない!」

コッコ「まあ、いきなり言われてもわからないでしょうけど、速読が身に付いてくると[]のブロックくらいの言葉だったら一瞬で読み取れるようになるのよ」(笑顔)

シキネ「そうなのか……うん」

コッコ「とりあえず読んでみなさいよ」(笑顔)

……ええと、ああ……なんとなく……わかるような……気がしなくもない……かもしれない。

――そんな感じ!!!

コッコ「まあ、結局速読のやり方なんて自分で掴んでいかないといけないのだけれどね。今日教えたのは”コツ”のようなものよ。どんどん[]の幅が広くなっていけば素晴らしいわね」(にやり)

シキネ「まあどっちにしろこんなしょうもないストーリーじゃ伝えきれないもんね!」

コッコ「……」(伏目)

シキネ「……あれ?」

 コッコさんが急に黙ってしまったからどうしたのだろうと思って顔を上げてみると彼女は何故か俺の真正面に立っていた。

シキネ「え、近い」

 そしてその細くてしなやかな指を俺の胸ぐらから喉仏から顎の先まで触れるか触れないかという感じで這わせた。

コッコ「ちゃんとお勉強しなさいよ、おばかさん」(なまめかしい)

シキネ「はい! もっと勉強して上手になります!!」

コッコ「上手に?」(きょとん)

シキネ「いえなんでもありません! すいません!」

 こうして俺は国語力をつけるために速読を意識することにした。



――ちなみに


シオ「チカも解いたんでしょ何点だった?」(笑顔[閉眼])

チカ「こんな感じ」(デフォ)

[四月 マーク模試 チカ]

 国語        200点
 現代文       100点
 古文・漢文     100点

 数学ⅠA      100点
 数学ⅡB      100点

 化学        100点
 物理        100点

 地理        100点

 英語        200点

 合計        900点


シオ「……本当によく毎回満点とれるね」(苦笑)

チカ「慣れだよ」(デフォ[柔])

シオ「今年受験できちゃうかもよ、私がちゃんと掛け合ってみようか?」(笑顔[開眼])

チカ「いや……まだいい」(デフォ[柔])

 チカちゃんが受験するのは来年の話。

15改 挿絵

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