あかほん! 第9話「プロテイン未使用」

Posted by chloro2236 on 06.2012 あかほん! 0 comments 0 trackback
――4月16日(木)
――
地歴公民準備室
――

シキネ「ちなみに下着のサイズは?」

チリコ「え、AA……って!!!!?? 何聞いているんですか!!!????」(もー紅潮)

シキネ「AAか……なるほど……」

チリコ「!“#$%&‘???!!?!!???!!!」(すごく紅潮)

シキネ「……で、どうなの、チリコちゃん?」

チリコ「……」(もじもじ紅潮)

 どう考えても俺のせいなのだが、チリコはスイート・チリソースもびっくりなくらいに顔を真っ赤に染めて、絞り出すようにしてこう言った。

チリコ「私、すごい人見知りですし……勉強会なんて……」(もじもじ紅潮)

シキネ「絶対に駄目?」

チリコ「……はい」(残念)

シキネ「でも、そうは言ってもほら、俺とはこんなに話せているじゃん?」

チリコ「それは……先輩は気さくに話しかけてくれますから……」(もじもじ紅潮)

シキネ「そう? そっか……」

 チリコは自信過小なんだ、性格なんだから仕方ないんだろうけど。話す前から話せないと決めつけている。俺は別に気さくな人間なんかじゃない。チリコに遠慮なく接することができるのはチリコの顔にいじめて下さいと……書いてあるわけではないが、とにかくチリコが話しやすい雰囲気を作っているからだ。チリコはきっとそういう素質を持っている、ただ、誰も、本人さえもそれに気付いていないだけだ。
 せめて、俺みたいに一度会話にまで持っていくことができればいいのだが……。

シキネ「チリコってさ、いつもここでお昼食べているの?」

チリコ「ええ、お昼を持ってきてここで」(デフォ)

シキネ「じゃあ、明日も来るね」

チリコ「はい」(もじもじ)

シキネ「じゃあ、今日はもう帰るね」

チリコ「はい、お気を付けて」(デフォ)

シキネ「気をつけてって、なんだそりゃ」

チリコ「……」(もじもじ紅潮)

シキネ「じゃあね」

チリコ「じゃあ……お気を付けて……」(もじもじ紅潮)

――
会議スペース
――

コッコ「あら、戻ってきたわよ」(デフォ)

シオ「シキネくーん、どうだった?」(笑顔[開眼])

シキネ「AAだったよ」

 俺は今日の会話の一部始終を大まかに説明した。

スウ「死ねっ」(怒り)

シキネ「でびるっ」

 スウに蹴られた。

シオ「せっかく驚かせちゃ悪いからってシキネくん一人に任せたのにね……」(苦笑)

コッコ「噂にはいろいろ聞いていたけれど、正直見くびっていたわ、ごめんなさい」(引き)

シキネ「いやいや、驚かせちゃ悪いから小出しにしていくつもりだったんだよ」

スウ「死ねっ」(怒り)

シキネ「まろんっ」

シオ「その……チリコちゃんは来てくれそうなのかな……?」(呆れ)

シキネ「うん……そのことなんだけどね、驚かせちゃうくらいがいいのかもしれない」

 俺はさっき思いついた作戦を説明した。

シオ「なるほどねー」(真面目)

スウ「それ、逆効果だったら悲惨だよ?」(デフォ)

シキネ「俺の見立てだといけるんだけどなあ」

コッコ「まあ、これで駄目ならそもそも勉強会に参加することも難しいんじゃない?」(デフォ)

シオ「そうだね……エーコちゃん、聞いていた?」(真面目)

エーコ「え?」(きょとん)

 ふと見ると、園崎さんとチカちゃんと白石としゅんじでインディアンポーカーをやっているようだった。

エーコ「……なるほど、わかったよ!」(きゃは)

シキネ「ところで彩里さん、今日の放課後の勉強会は……?」

エーコ「今日はやらないよ!!」(きゃは)

 なぜか応えたのは園崎さんだった。

エーコ「今日はみんなで遊びに行くから!!」(きゃは)

シキネ「今日もかよ!」

エーコ「シキネくんも来る? あ、やっぱいいや、シキネくんは勉強しなさい!」(きゃは→デフォ)

シキネ「確かに! 確かに俺は勉強すべきだ!」

エーコ「というわけで、白石くん、今度はスピードやろー」(きゃは)

白石「ふ、俺のスピードについて来られるかな」(真顔)

エーコ「やだ、白石くん、一周して普通のこと言っちゃってる」(笑顔)

 園崎さんと白石はいつの間にやらスピードをやる仲になっていて、一方チカちゃんは園崎さんからやっと解放されたと言わんばかりにUNOを持って物欲しげにしているしゅんじをガン無視していた。
 なんだろうこれは……ただの仲良しグループじゃないか。

スウ「ところで……身長は?」(デフォ)

シキネ「ん、いきなり何?」

 スウが小声で話しかけてきた。

スウ「その子の身長だよ、聞いてきたんでしょ?」(デフォ)

シキネ「いや、聞いてないよ」

スウ「え、なんでブラのサイズを知っているのに身長を知らないの?」(呆れ)

シキネ「すんません」

スウ「もう、ちゃんとしてよ」(呆れ)

……何をちゃんとするのかはわからなかったが、きっとスウはチリコがどれくらい小柄なのか気になっているのだろう。なんだろう……少し切なくなった。
 そしてその切なさよりも遠くの方で、昨日から不安がじわじわ広がっている。もしかして、もしかすると……人選ミスだったのかな?

エーコ「いけー、ロイヤルストーレートフラッシュもどきー!」(笑顔)

 あんただよ! 園崎エーコさん!

 俺はこの怠惰とも思われる日常に受験という不安材料を捨てきれないまま、愉快な時間を楽しみきれないまま、複雑な心境でいるしかなかった。

――高校三年生の春。

――4月17日(金)
――
地歴公民準備室
――
[昼休み]

シキネ「こんにちは」

チリコ「こんにち……え!?」(驚き)

チリコが固まった。まあ、仕方ないだろう。

エーコ「こんにちはー!」(笑顔)

シオ「こんにちは」(笑顔[開眼])

スウ「本当に来てよかったのかな?」(考え顔)

コッコ「あら、意外と広いのね」(デフォ)

チカ「……」(デフォ)

白石「ウイッス」(真顔)

しゅんじ「プロテイン未使用」(真顔)

 みんなを連れてきてやった。

 改めて勉強会のメンバーをまとめてみるとこうなる。
 園崎エーコさん(英語)
 彩里シオさん(物理)
 スウ(数学)
 コッコさん(国語)
 彩里チカちゃん(化学)
 白石(ほも)
 筋肉(筋肉)

チリコ「あああ、あのあのっ、この方達はっ!?」(慌て)

シキネ「こちらが例の勉強会のみなさんです」

 そして俺は振り返る。

シキネ「そしてみなさん、こちらが社会科マスター、チリコさんです」

チリコは明らかにテンパっていた。

チリコ「ちょっ、先輩!? なんですか社会科マスターって」(慌て)

 そして俺の思惑どおり、そんなチリコを彼女たちが放っておくはずがなかった。

エーコ「カワイイー!」(きゃは)

 チリコに抱きつく園崎さん。

シオ「チリコちゃん、よろしくね」(笑顔[閉眼])

 素敵な笑顔の彩里さん。
 とりあえずこの二人がチリコで遊び始める。

チリコ「はわわわわっ」(慌て)

コッコ「あら、仔猫ちゃんかしら?」(なまめかしい)

コッコさんが加わった。チリコのふたつしばりを掴んでいる。

チリコ「はわわっ、あのう」(慌て)

 ああ……心配なく仲良くなれそうだな。うん……イジメ……ではないよな、大丈夫だよな、大丈夫だ、うん、大丈夫。
 するとスウがこっちに来た。

スウ「なんか、あの様子だと大丈夫っぽいね」(苦笑)

シキネ「俺も今そう思っていたんだよ」

 スウにそう言われて初めて安心できたというのは秘密の話。

スウ「身長……」(デフォ)

シキネ「?」

スウ「どのくらいかな……?」(デフォ)

 がんばれスウ、見た感じなかなかいい勝負だと思うぜ!

……そしてしっちゃかめっちゃかした末、チリコが勉強会に正式に加わった。俺の思っていたとおり、チリコは自分に自信をもてないタイプだったようだ。だけど、確かなものを持っているんだ、俺達でつついてやればきっとチリコも自信を持つことができるんじゃないかと思った。もっといろいろな人と付き合っていろいろな自分に気付いていければ……こんな狭い部屋に閉じこもることもなくなるんじゃないかって思うんだ。

 そして……。

白石「あーるーぷーすー一万弱」(真顔)

しゅんじ「大胸筋のうーえーで」(真顔)

白石「アルペンおーどーりーをー」(真顔)

しゅんじ「レッツ・ダンス」(真顔)

 白石としゅんじがひっそりとアルプス一万尺をやっていたのは秘密の話。

09話挿絵

▶ Comment

▶ Post comment


  • password
  • 管理者にだけ表示を許可する

▶ Trackback

trackbackURL:http://chloro2236.blog.fc2.com/tb.php/37-77ce396e

数字

タグ

最新トラックバック

プロフィール

chloro2236

Author:chloro2236
クロロです。
右と左はわかりますが西と東はわかりません。

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR